生き方の縮図と発見のつながり。

海馬―脳は疲れない (新潮文庫) 海馬―脳は疲れない (新潮文庫)
(2005/06)
池谷 裕二、糸井 重里 他

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無限に問題集を解いて、予想問題を全部できても、誰かが答えを知っている問題をいくら解けたって最上の弟子になるのが関の山
に衝撃を受けた。確かに!!

脳と記憶に関する、目からウロコの集中対談。いわく、「『もの忘れは老化のせい』は間違い」「30歳を過ぎてから頭は爆発的によくなる」―。記憶を司る部位である「海馬」をめぐる脳科学者・池谷裕二のユニークな発想と実証を、縦横無尽に広げていく糸井重里の見事なアプローチ。脳に対する知的好奇心を満たしつつ、むしろオトナの読者に生きる力を与えてくれる、人間賛歌に満ちた科学書。


・大人が1万個の知識の中からひとつを選ぶようなものだとしたら、子供は10個の記憶の中からひとつを選び出すだけだからすぐにできる。
・大人になってから手を動かすことが重要。脳は2のべき乗で成長する。経験してわかることに関して、大人のほうが発達している。
・周りの世界を新鮮に見ていられるかどうかを気にするべき
・あいつ頭がいいけど、嫌いだわ=あんなやつ、馬鹿だ。と判断している。好き嫌いを扱うのは扁桃体、情報の判断は海馬が行う。この二つは非常に近い
・宗教の改組はみんなたとえの名人。「コップいっぱいの水を持った男に、お湯をやる。水を捨てなければ、いくら注いでもぬるま湯しか飲めない。捨てて初めて飲める」
・一番大事なのは、どんなことがあっても真っ白にならないこと。難問に絶えずさらされているから、経営者は真っ白になってはだめ(柳井さん)
・インタビューの極意:二人の場を作る。二人で理解をし、ひとつのアウトプットを作る。
・ストッパーをはずしてひとつ違う局面にいくことを何度かやると、次にできることの可能性が増える。大舞台を踏むと強くなる
・ほめるとき=この人を止めないでおきたい、って思っている気がする。
・20代が終わるところまでの状態で、脳の編成はだいぶ落ち着いてくる。30歳を超えると、ワインが熟成していくような落ち着きが出て、ネットワークが密になる
・センスをしっかり学んだ人は、ごく自然に「ろくなものを食べないで育った」といえる。最高峰の人は環境と能力の発揮の差がわかっている。強い上にかっこいい
・30歳の誕生日に何をしているかでその人の人生が決まる。自由と制約の真ん中だから
・神経細胞同士の関係を都市計画だと思うとものすごく理解しやすくなる。
・前頭葉:人間の人間足りえる欲望が詰まっている。額の内側、人間の額が垂直な所以
・脳は疲れない、やすまない。でも、飽きる。話題に行き詰る。モノをつなげる能力が固定され、飽和した状態。姿勢を変えたり、眼球を休ませることは非常に重要。休憩の方法はひとつじゃない。
・糸井さん:いつも「変えてくれ」といっています。今の俺の考えは、間違っていると思いたい。まだ何か足りないと思いたい、もっと楽しくしたい。
・無限に問題集を解いて、予想問題を全部できても、誰かが答えを知っている問題をいくら解けたって最上の弟子になるのが関の山
・情報を整理しすぎると、消えてしまうものがある。あいまいな動機や直感、揺らぎ大事
・物足りないと思うか、まあいいや、と思うかは結構大きな分岐点
・アーティストなんて、受け入れられないと仕事がなくなっちゃうんだから、切実に4/5に受けて、なおかつこれまでと違うわくわくすることは何だろうを考えざるをえない。
・企業の栄枯盛衰も、これまでのシェアからこぼれてしまって仕方なく違うことを考えた人たちがのし上がる。ということの繰り返し
・脳はもともと思い込みの強い性質がある。それをいかに崩せるかが頭がいい事の一つのヒント。縛られた整理を持っているんだから、その思い込みを越えたいと思わないと
・物忘れがひどい、は勘違い。脳の本質はモノとモノとを結びつけること。ストッパーをはずすと成長できる。30を過ぎてから頭はよくなる。脳は疲れない。刺激がないことに耐えられない。見たいものしか見ない。
・脳の能力は突き詰めれば情報の保存と情報の処理。
・AとBを理解すると、Aから見たB、Bから見たAを理解できべき乗でつながる。
・凡人と天才の差よりも、天才同士の差のほうがずっと大きい。やればやるほど経験メモリーのつながりが緊密になっていくから。
・馬鹿かも知れないけど自分の将来の飛躍的成長を夢見る事って、ストッパーをはずす事
・刺激があると海馬が大きくなる。海馬が大きくなると処理能力が増える。さらに対象にする刺激が増える。ポジティブな回転が起きる。
・面白く生きるのはやっぱり都会なんだ。誰だって都会にいたほうが楽しいんだよ。
・アメリカ:とにかく広いなぁ。と思った瞬間にどこまで続いているんだろう?って考えたところがアメリカの可能性の始まりだったかも。遠くは一気に近くもなる。
・脳が刺激を求めているから、刺激を満たす必要はあるけれども、その先には脳がいつでも安定した見方をしてしまいたがる。ということに対して挑戦をしていかなくては。
・新しい価値観を持とうとしない人とは一緒に仕事をしにくい。「こだわり」を安売りしないで、そもそも勘違いしやすいので、認識している嘘をつかない位の枠でいいのでは
・肉親の死を若くして経験した人とか、少年期に大きな状況の変化を経た人は、自然と時間軸について考えてしまうかもしれないなぁ。
・脳の成長は非常に早い(べき乗)。脳はわからないことがあると嘘をつく。マジックナンバー7.海馬は増やせる。旅は脳を鍛える。脳に逆らうことがクリエイティブ。これが他人の悩みだったら、が悩みを解決するコツ。
・新しい物をまえにしてつまらないと感じるとき:面白さがわかっていないor無知
・眠る前に一通り仕事をやってみる。そうすると脳が無意識のうちに整えてくれる。睡眠は6時間は必要。パフォーマンスが落ちる。
・達成感という快楽をいかに味わうか:目標は小刻みに。1時間ではなく、30分が二回
・記憶力を増やす食べ物はあるにはある。やり始めないとやる気は出ない。眠ることで記憶は整理される。酸化することは腐ること。失恋や失敗が人を賢くする。生命の危機が脳を働かせる:おなかをちょっとすかせる位がいい。
・Aが情報の出して、Bが受けてだとすると、情報の受けて(B)が重要
・頑固が頭を悪くする。同じ視覚情報が入っているのに、認識するためのパターンが違う
・ほかにつながっている回路の交通量を少しマイナスにして、つなげたい方向の交通量を増やす。周りが少しずつ損をする事で、一つの回路がぼろもうけする。
・公式を丸暗記している人より、公式を導き出せる人のほうが、原理を知っているから上
・経験メモリー法で勉強をやっていると、どれも同じ問題、引っ掛け方の違いだけに写る
・俺は馬鹿だからっていう演歌みたいな台詞を言ったと単にすべての可能性が終わる
・世界は可塑性でできているから、決まった形に安定なんてしないものだ。
・インターネットの発展に伴って、情報の行き来が早くできるようになって科学ですらも閉鎖系から開放系になってきている。
・センスは学べる。やりすぎてしまった人が天才。予想以上に脳は使い尽くせる。問題は一つずつといていこう。必ず解けるから。いってしまったことが未来を決める。他人とつながっている中で出た仮説には、意味がある。
・人の本質とは「変化」である。外界に反応しながら変容する自発性にある。だからこそ、プロセス重視の行き方が寄り人間らしい存在に直結する。
・プロダクティブな活動はすべて、つながりの発見に根ざしていると理解できる。人生はいわば編集作業だ。外にアンテナを巡らせ、偶然の要素を増やし、相互の関係を規定しプロセスによってアウトプットする。
・秀才という役割は図書館と同じ。官僚に近い気がする
・具膳や事故を取り込んでは考えを変えてゆくんだ。勝負は勝ち続けなければいけない、という価値観はどうも古いんじゃないかなぁ。