約30年前に英オックスフォード大学教官として渡欧、現在は欧州系コンサルティング会社に勤める著者による企業再生論。挑戦すべき目標を確立することが企業の経営には最も大切と説く。 (聞き手は富岡 修)
挑戦すべき夢を見失うな(富岡修)
・ミッションとは「所得倍増計画」や「人類を月に送る」のように具体的、かつオリジナルティがあり、大勢の人々が胸をワクワクさせるような挑戦目標になっている。万人が共有できる目標足りえる。
・ミッションは民主的に決めてはいけない。独自コンセプトが必須
・ミッションには二つの成分がある、一つは時代を超えるミッション、もう一つは5-10年の時代とともに変わるミッション、だ。
・ミッションとは非常にクリアで、かつ具体的なゆえに、達成するための行動指針が次々に導き出されてくるようなものでなければならない
・ビジョンは能力の許す範囲でやりうること、目標でありマイルストーン。
・微分的発想(成長率)は本質がでたとこ勝負。一寸先を予想できない
・積分敵発想、微分値、例えば内部留保や累積投資額などを勘案しながら、何のために積分をし、どこに向かっているか、を明確にする。
・ミッションはあたかも山の頂上、山を登るためのロードマップとしてビジョンを設定し、そして具体的な経営戦略に入る。順番は整合しなくとも、ミッション・ビジョンによって、進む方向を調整しながら進んでいけばよい
・ビジネスを成功させるには、ぼんやりとした常識にとらわれず、自分の哲学と信念をもって主観的判断を下し、本気で事に当たる強さが必須条件である
・一旦決断し実行した後は2度ともとの状態に戻れないことを覚悟の上で、本気で決断する勇気が経営トップにあるのか。
・ステークスホルダー・マッピングを行い、それぞれの期待値を分析し、ステークスホルダー間の軋轢を最小限に、要望を最大限にする方法を探査し、そこへ時間軸を組み込んで自社が目指すべき方向についてシナリオを書く
・IRも、経営サイドから今後の株主構成をどう作り直せばいいのか、という視野にたって株主を選ぶつもりでメッセージを発信する必要がある。
・相手の会社のBSの視点に立って考えるというように、考え方の立場を変えて検討することが、お互いの関係を見直し見据えることなのである。
・ビジネス関係論からビジネス・チャンスを創造するためには相手との関係を踏まえて、相手の立場から物を見る。という視点が重要である。
・いつも同じ方向に向かってただまっすく歩き、はじめは偶然その方角を選んだとしても、容易に変えないこと、とにかく最後にはどこかに行きつく。(デカルト 方法序説)
・会議は事前に資料を読み込み、質問からはじめる(IBMガースナー元CEO)
・セッションC:幹部層に経営に対して提言をさせる研修、ワークアウト:利害関係のないファシリテーターの元、メンバーがマネジャーに提案をする。(ジャックウェルチ)
・ヨーロッパ人のしたたかさ:あくまでも知的好奇心の一つとして、尊敬できる人物であればどんな分野の人間でも巻き込み、ネットワーキングする。
・ライフワークとなるテーマをアンテナとして立てていると、いろんなタイミングで情報は予期せぬところから飛び込んでくる。少なくとも大事な情報のありかは見えてくる。
・こころよく生きる、とは思慮深く正しく、美しく生きることである。