多種多様、影響力を増していく日本のブログ(1/2ページ)

佐伯千種総務省情報通信国際戦略局情報通信経済室課長補佐
佐伯千種総務省情報通信国際戦略局情報通信経済室課長補佐

 インターネットで公開されている日本国内のブログは08年1月現在で約1690万あり、単行本約2700万冊の情報量に匹敵している。日本語ブログは使用言語では世界トップクラスで日本人のブログ好きが浮かび上がる一方、「スパム(迷惑)ブログ」などの問題点も指摘される。日本のブログに詳しい総務省の佐伯千種・情報通信国際戦略局課長補佐に現状や課題などを聞いた。

--米国では政治や経済のブログが社会を動かしているようですが、日本はそこまで至っているかは疑問です。今後、日本のブログは社会的影響力をつけるのでしょうか?

 米国では、大統領選での利用や市民ジャーナリズムの面が華々しく取り上げられることの多いブログですが、制度や社会・文化的な相違もあり、我が国のブログは多種多様なのが特徴のようです。総務省が08年に実施した「ブログの実態に関する調査」では、自己実現やストレス解消などの内面的な効用を重視するブロガー(ブログ開設者)が最も多く、全体の約3割でした。そのほか、ブログを通じて同じ関心を持つ多くの人と知り合うことを強い利用動機とするブロガーが25.7%、自分用の情報アーカイブとしての利用が25.0%、収益目的が10.1%、社会貢献を目的とした利用が8.4%となっています。

 ブログが本格的に利用されるようになってからまだ5、6年ほどですが、ブログが日記的な自己表現のほか、子育てママさん同士のコミュニティの形成や、社会貢献、収益など、多様な目的で利用され、ソーシャルキャピタル(社会資本)として、あるいは収益ツール、情報発信ツールとして活用されているようです。多くの閲覧者を集めるアルファブロガーも数多く出ていますし、ブログと他メディアとの連携のような事例も多くみられます。また、ブログの伝搬力に着目した企業が販促活動に人気ブログを活用するなど、社会・経済的な面でのブログの影響力は今後ますます増していくのではないでしょうか。

--年代別のブログの使用方法についてはどう思いますか?

 ブロガーの年代別の内訳では、20代・30代の割合が高い傾向がありますが、最近の文部科学省の調査では、高二のブログ開設経験が4割を超えるという結果も出ており、携帯で更新する10代が多いようです。また、「ブログの実態に関する調査」の分析結果では、日記的利用の自己表現ブロガーには10代、20代の割合が高いという傾向があり、若い年代層がブログを公開することによるトラブルも指摘されるところです。多くの人の目に触れるものという認識を持ち、情報発信者としてのメディアリテラシーを身につける教育が重要になってくるのではないでしょうか。

 他方、社会に貢献することを重視するブロガーの場合、様々な分野の豊富な経験・知識を有する40代以上の割合が高い傾向が見られます。ブログのテーマも「マネー・金融」、「医療・介護」、「地域」など専門的なテーマの割合が高く、こうした社会的に有用な情報が活発に発信されていくことがブログのメディアとしての評価をますます高めることになると思います。