ファンドマネージャーに習う、企業経営上良い選択をする為の3つのステップ

Todai

東大卒の超敏腕ファンドマネージャーに勧めてもらった「東大卒のファンドマネージャーはなぜいないのか―投資センスの本質を探る」この本、経営をしていく上でも大事だなぁ、と思ったので感想というか自分に向けてのメモ代わりに。

そもそもなんでこの本を勧めてもらったかというと、投資センス、判断のセンスを少しでもその人から盗みたいと思いながら質問をしていた矢先「いろんな謎が解消すると思う」と言われての1冊。確かに東大卒ならこうなるな、と思ったとともに、ビジネスやっていてもこりゃやっちゃいかん、と思う気づきが多い本でした。

1.感覚値としては正しいけれど悪い選択肢は世の中に沢山転がっている。

13年間(もしくはそれ以上)学校教育を受けていると、

「世の中に正解は有るし、努力すれば報われる。位が上という事は良い事だ。」

みたいな事を「常識」として教わり、それが感覚値になりますが、少なくとも金融の世界(企業経営でも) 「一般常識の上に成り立つ感覚値」が良い選択肢(この場合の良いの定義はおおざっぱにいえば儲かる)事は多くは無い(どころかほとんどない)と思います。

儲かる or みんなが欲しい物が「常識的に考えて」分かる物であれば、その収益機会は一瞬で埋まりますし、そこ迄市場は馬鹿じゃ有りません。一方、一般常識の上に成り立つ感覚値からするとずれたところに「しか」良い収益収益機会は無い、と思って物事を見ると、全然違う物が見えてきます。常識に縛られ、「いい子と呼ばれるような行動をとる事」が「(世間一般に)正しい選択」という事は多いですが、「(経済的に) 良い選択」である可能性が低いという事を前提条件で持つ事がステップ1です。

2.疑ってかかる。

前提条件がそろった状態で、さらに何かを考えていくと「あっ」と着想する事が沢山出てくるんだと思います。

「みんなはAだと考えるだろうけど、 実はこれはBになるんじゃないか」という仮説の様な物が沢山。例えば、今、株高で、その理由を(メディアでは)「アベノミクス」とよんでいます。これ、すごーく簡略化すると

「安倍総理の打ち出す施策がここから将来にわたって有効だと市場が期待しており、その結果株価が上がっている 」

状態ですが、 これって正しいでしょうか???コンビニにはずいぶん「株・投資」関連のムックが増えていますが、”ここから将来にわたって有効だと市場が期待しており ”はだれが、どんな保証でそれを担保してくれるのか、もしくはどんな数値・データ・兆候をみてそれが「確からしい」といっている・思っているのかを最低限確認する必要が有りますよね?ともすると、「株が上がってるから景気がいいから株が上がっている」という意味の分からない回文になっていたりするので要注意です。

ちなみに、個人的に最近すごい怖いなぁ、と思っている「疑ってかかっている」ポイントは ベトナム・ミャンマー・カンボジアあたりの中小企業進出です。どうも、簡単に「政府が誘致している系」の話が多すぎるのが。。。僕が自分でやる時は相当調べます。疑ってかかります。(実際昨年弊社はベトナムでの事業展開を一時凍結しています。)

と言う事で、今思う、考える事も「それが本当か」をめんどくさがらず考える、これが2つ目の「良い選択を取る為のステップ」です。

3.間違うことはある。

最後のポイントは、上記2点を真剣にやってもマーケットは基本的に「読めません」が結論です。
当たり前ですが「この株(もしくは本、めるまが、情報商材、投資対象、何でも)を買えば必ず儲かる」は100%詐欺です。

読めないなかで、最後迄考えて、決断を下しても、自分の決断が「間違う」ことは沢山有ります。(文中ではだからこそファンドマネージャーは辛い仕事で、東京大学出身者は自分が「間違う」事を認められない」とあります。)間違った時は「なるべく早く、損切りをして、リカバリー」が基本で、この本を紹介してくださったファンドマネージャーも「朝言った事をすぐ覆す事は何とも思わない」とさらっと教えてくれましたが、企業経営でもまったくもって同じなんだと思います。

大局観を忘れず、小さな失敗を沢山しながら大きな利益を狙いにいく。まあ、一言でいうと「考えて、考えて、考え抜く。」と言う事では有るのですが、「自分を否定しなくてはいけない瞬間」を如何に抵抗無く乗りこえつつ、大きな果実を取る、という目標のみにフォーカスを絞って意思決定できるか、が良い選択ができる・できないの分かれ道なんでしょう。

「常に可能性を探っている。byイチロー」に通ずる、大事な気づきだなぁ、と思った次第。さらっと読める、良い本でした。