日本トップ50人 2008年の視点

日経ビジネスが厳選した日本企業のトップ50人。日本の叡智が、危機管理、人材育成、顧客対応など、マネジメントにまつわる様々なテーマについて語ります。めまぐるしく時代が変化する中、かつては常識とされていたことも非常識になるほど、価値観は揺れています。ビジネスパーソンに日々問われるのは、モノの見方、視点です。時代遅れと言われないためには、2008年に焦点となる視点を身に付けておきたいものです。自ら考える手がかりが日本のトップ50人のインタビューから読み取れます。2008年を勝ち抜くための、考え方の手引書となる1冊です。

・アジェンダセッティングの重要性。具体的に解決すべき課題を明確にして、逆算をする。
そのときに「具体的にどうするか」を議論する。課題・最小にセッティングする結論は絶対に自分が納得できないとだめ。(竹中大臣)
・改革には二つの意味がある、一つは経済改革、もう一つは財政改革、この2つは意味が違う。両輪
・暴かれる前に暴く、ファクトに基づいて、「真実はこうだ」が必要。
・上質な人間は良識を備え、道徳心がある。精神的な緩みがあると、上質でなくなる。(稲盛会長)
・緊急時に必要なトップの条件。胆力がある、根が明るい「ネアカ」である、調整型のいい人ではない。(冨山経営競争基盤社長)
・経営というのは人間をどうやって自分の思うように動かすか、ですから。それを実践するならおままごとベンチャーをやるより、よっぽど地方の旅館の経営をしたほうがいい。
・かつて私が部長だった時代、半年間部員に海外で好きなことをさせる制度を作りました。できるだけ視野を広げて、あちこちのビジネスパーソンと付き合える環境を整えるために。ただし、会社に絶対寄らせない。報告はさせる。(丹羽伊藤忠会長)
・戦略構築に優れた会社よりも、従業員モチベーション工場に優れた会社のほうがパフォーマンスが高い(北城格太郎 前経済同友会代表幹事、IBM会長)
・IT企業では「俺は賢い」というやつの集団でないとエネルギーは出ません。だから忍耐。マクドナルドでは寛容。みんなを容認して、とにかく気持ちが動くようにもって行く。正論だけでは誰も動きません。(原田マクドナルドCEO)
・真の指導者は刺激的、いい人は滅びゆく。国家が崩壊したのは脅威にさらされても戦おうという情熱がなかったから。終焉を迎える時代の指導者はみんなよい人でエレガントでクリエイティブ(ゴーン)
・良い経営者になりなさい、といって安岡正篤さんが「雅望」と書いてくれた。金や権力を追う「欲望」を捨てて、雅やかな志を持ちなさい、と。(牛尾治朗 ウシオ電機会長)
・全世界の穀物産出量は20億トンくらい。ある試算ではこれで養える人口は83億人、2050年の世界総人口は90億人、たいへんな飢餓の時代になる可能性がある。(菱食、廣田相談役)
・小学校のときに一番威張っているのは腕力の強いやつ、中学・高校で威張っているのは勉強のできるやつ。しかし、社会に出てがんばれるかどうかは、後ろを振り向いたときに何人の人がついてきているかで決まる。(山之内 東日本旅客鉄道 元会長)
・世の中、先のことは絶対に7割しかわからない。3割は未知の分野であってわからないことに挑戦するところに人間の夢、ロマンを織り込める。計画と予定は違う。(高橋 住友信託銀行 会長)